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オタビジブログ

とあるメディア企業で働くオタクビジネスプロデューサーによるブログ。 アニメやゲームなどいわゆる「オタク向けビジネス」の紹介・分析を中心としながら、イロイロ書いていきます。言っちゃだめなことは言いません(=゚ω゚)ノ

日本のアニメ産業はこのままいくと完全に破綻すると思う③DVD・Blu-ray市場の縮小

201307

こんばんわ。さらに続きです(=゚ω゚)ノ

前回:日本のアニメ産業はこのままいくと完全に破綻すると思う(=゚ω゚)ノ② 
前々回:日本のアニメ産業はこのままいくと完全に破綻すると思う(=゚ω゚)ノ①

 ①と②で、地上波で深夜アニメ放送枠が増えたからくりを、テレビ局広告代理店の都合中心に書きました。
でも、この2社のプレイヤーだけではアニメビジネスは成立しません。
広告代理店が持ち込むためのコンテンツ、つまりアニメ番組が必要です。

 “鶏と卵”のような感じですが、アニメ番組を作りたい人達がいるから、アニメは放送されているわけです。

アニメ番組を作りたい人達とは一体誰か?

その中心は「ビデオ販売会社」です。
業界の中では「販社」なんて呼ばれております。
代表的な会社を言いますと、アニプレックスバンダイチャンネル、ポニーキャニオン、キングレコードあたりでしょうか。

彼らはブルーレイやDVD(映像パッケージ、パッケージと呼びます)を販売することで利益を上げるビジネスをしています。
その販売に効率的だと考えたのが、「深夜アニメ」だったのです。

僕もいっぱいアニメのブルーレイやDVDを持っていますが、アニメ作品は、なぜか所有欲がそそられますよね。
(個人的に、コンテンツ所有欲が消費に結びついている人々こそが、「オタク」の定義とも考えています。)

実際に、人気アニメともなれば、数千円もするBlu-rayが、数万枚売れたりするわけです。
そうなれば、アニメ制作費を十分に回収でき、なおかつ製作委員会に十分な配分が行き渡るわけです。

しかし、このビジネスはまだ最近生まれたものです。
DVDやBlu-rayができたのが最近ですからね。

過去、映像パッケージを売って制作費を回収するビジネスモデルが始まるまでのアニメビジネスと言えば、キャラクタービジネスでした。

アンパンマンやドラえもんなどが典型的です。

アニメを放送することで、認知度(人気)が上がり、そのキャラクターグッズが作られ、売上の一部がアニメ制作サイドへ還流されます。
それがアニメを放送することによって生まれる大きなメリットとして、アニメは作られていました。

ただ、グッズの値段はそう高くはありません。キーホルダーやぬいぐるみですからね。
それではあるアニメが一部のコアなファンに支えられたとしても、還流される額は大きくなりません。
そんなこともあり、子供に幅広く好かれるいわゆる「キッズアニメ」が日本で発達していっていたのです。
ですが、少子化の影響で、キッズ市場は縮小傾向にあり、キッズアニメもうまく回らなくなってきました。

また、過去はアニメがゴールデンタイムに放送され、20%くらいの視聴率を取っていた時代もありました。
ドラゴンボールやセーラームーンなどを始めとして、少年漫画雑誌原作のアニメ、いっぱいやっていましたね。
その頃であれば、キャラクタービジネスを考えずとも、テレビ局のメディアビジネスとしても、アニメは成立していたわけです。

しかし、先ほども書きましたが、キッズアニメ全盛の時代は90年代あたりを最後に窮地に追い込まれました。
アニメビジネスを営む企業たちはさまざまな活路を探します。

そんな中で、アニメビジネスを成立させる要素として現れたのが、DVDやBlu-rayです。

単価は一枚5000円〜9000円と高い割に、映像制作費を除く“制作コスト”は高くはありません。
一枚売れば相当な利益が戻ってきます。
これまでのアニメビジネスの中心であったキャラクターグッズと比べると、高価なものになりますが、逆に、少人数のコアなファンさえ獲得すれば、ビジネスとして成立する仕組みができたわけです。

「しっかりとした作品を作れば、オタクたちが買ってくれる!」
ここに目をつけたビデオ販売会社を中心とする企業は、一気にアニメビジネスに参入します。
それにより、深夜アニメは2000年代に入り、一気に増えることになりました。

それ以降、深夜アニメはどんどん増え、消費に繋がるアニオタだけでなく一般視聴者層まで喜び、アニメビジネスを営む企業も儲かり、さらに増えるという良い循環が生まれました。めでたしめでたし。

、、、とは、ならない形になってきているのです。ここ数年。
(ここまできてようやくタイトルのところにたどり着きました。)

DVD・Blu-ray市場の縮小が始まり、アニメビジネスが成り立たなくなってきているのです。

以下、オリコンの記事の引用です。

オリコンは1日、2012年(集計期間2012年1月2日~30日)のDVD、Blu-ray Disc(以下BD)の映像ソフトの売上をまとめた『年間マーケットレポート』を発表。DVD市場の縮小をBDの成長で補完できず、総売上額2544.5億円(前年比93.5%)と2年連続でマイナスを記録した。
【年間映像ソフト市場】BD売上初の800億円超 市場全体の1/3占める (嵐) ニュース-ORICON STYLE- 

ここにきて、2年連続で市場が縮小しているのです。
2010年をピークに、2011年、2012年と下がり続けています。

感覚的ですが、深夜アニメファンは確実に増えています。
それなのに映像パッケージ(DVD・Blu-ray)市場が縮小しているのはなぜか?

よく言われているところだと、HDDレコーダーの普及が原因です。
さらに、地上波テレビのデジタル化(地デジ化)が拍車をかけていると考えています。
DVDより自分たちで録画したもののほうが綺麗になりましたもんね。
これにより、高価な映像パッケージを買う理由がかなり少なくなりました。

また、海外版のブルーレイを安価に購入できるようになったことを挙げるアニメ関係者もいます。

ネット通販を中心に流通インフラが整理され、アメリカのAmazon.comから簡単に物を買える時代になりました。
DVDやブルーレイには「リージョンコード」と呼ばれるものが設定されていまして、ある地域で販売されるプレイヤーでは、その地域で販売されたDVD/BDしか再生できなくなっています。

DVDで日本と同じリージョンコードの地域は、
中東諸国、西ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、エジプト、フランス保護領、グリーンランド、日本、レソト、南アフリカ および スワジランド
となっています。

それに対し、ブルーレイで日本と同じリージョンコードの地域は、
南北アメリカ、東南アジア、日本、朝鮮半島、台湾及びそれら海外領土
となっています。

なんと、アメリカと日本が同じリージョンコードになったのです!
=アメリカで販売されているブルーレイを日本のブルーレイプレイヤーで再生可能となりました。

日本よりもアメリカのほうがメディア相場が安いのですが、もちろん収録されている映像の画質は同じです。
こうなると、アメリカのAmazonから購入する人が出てくるのも必然ですね。

もちろん購入されている以上、巡り巡ってアニメの製作委員会の利益にはなるのですが、海外での販売は、
・国内以上に海外販売委託先が手数料を抜いてくること
・そもそも単価が低いこと

もあり、1枚売れた時に製作委員会へ戻る収入が小さくなってしまいます。

そして、このBD/DVD市場縮小の流れ、2013年以降、さらに加速していくのではないでしょうか。
大きな要因としてひとまず2つ挙げられると考えています。 

①HDDレコーダーの更なる発展

HDD容量の巨大化やスマホでの持ち出しなど、アニメを長く保存しておくことや、いつでもどこでも見れる環境が整ってきています。
HDDレコーダーなんて特別に買わなくとも、最近ではテレビに標準搭載されていますし。
Blu-rayを買うメリットがなくなってきてしまいます。

②定額制見放題サービススタート

ドコモのdビデオやdアニメストア、ソフトバンクのUULA、auのビデオパスなど、大手通信キャリアが一斉に定額制の動画配信サイトを始めました。
たったワンコインで何千本というアニメ番組が見られる時代に突入したのです。
オタクが消費する金額が有限なことを考えると、映像パッケージ市場が削られることは必至です。
さらに、「見放題配信されているものをわざわざ高いお金だして買うのもな…」といったような心理的な作用も大きいと思われます。
もちろんこの定額制見放題サービスからの収入がDVD/Blu-ray販売の収入を上回ればなんの問題もないのですが、そんな市場規模には全然至っていません。

また、余談ですが、無料動画配信サイトの影響とも言われた時期もありましたが、アニメビジネスを仕掛ける側としては、その影響はそこまで大きくないと考えています。
無料動画の勝手配信サイトは著作権法で守られているものを違反していることになるので、コンテンツホルダー側としては、一応対策を施しますが、それすらも宣伝媒体として考えているのが実情です。 

このBlu-ray・DVD販売が縮小する環境が続く以上、現状、Blu-ray・DVDの販売収入に頼りきっているアニメビジネスは非常に危ないです。 

それを受け、少々煽り気味ですが、「日本のアニメ産業はこのままいくと完全に破綻すると思う(=゚ω゚)ノ」というタイトルをつけさせて頂きました。

今はまだ惰性で多くの放送が続いていますが、最近は1クールの中でヒットする作品がかなり減ってきています。
つまり投資額を回収できていない作品がいくつもあります。
これでは縮小の一途を辿ります。
実際に、フジテレビのノイタミナでも撤退の議論が行われたと聞いています。

そんな中、アニメの製作委員会は、過去にグッズ販売から映像パッケージ販売にスイッチしたように、いくつも策を練っているわけですが、まだこれといった打開策は見つけられていません。

策の方向性は大きく分けて2つありまして、
 ①映像パッケージ販売を復活させる方法
 ②映像パッケージ販売以外の収入源を探す方法
があるわけです。

これについてはまた、次回まとめて書きたいと思います。

6/14追記:書きました!⇒最新アニメビジネス事情を「進撃の巨人」に当てはめながら説明してみる

駄文失礼いたしました(=゚ω゚)ノ 

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